2021 Project

2021 HUB-IBARAKI ART PROJECT

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HUB-IBARAKI ART PROJECT 2021 開催概要

プロジェクト実施
開催期間

2021年4月5日(月)~9月26日(日)(約6か月間)

作家

黒田 健太(ダンサー、1995年愛媛生まれ)

作品

《今、ここで、立ち尽くすために》

テーマ

パブリックとプライベートの接点、「ストリート」を拡張する

プロジェクト内容

茨木市内全域を対象としたリサーチ、作品発表、トーク、市民交流の取り組みなど複数のプログラムを実施予定

チーフディレクター

山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)

ディレクター

山本 正大(少年企画)

事務局

茨木市文化振興課

主催

茨木市、アートを活用したまちづくり推進事業『HUB-IBARAKI ART』実行委員会

共催

公益財団法人 茨木市文化振興財団

後援

一般社団法人 茨木市観光協会

ごあいさつ

『HUB-IBARAKI ART PROJECT 2021』は、作家公募で選出した京都在住のダンサー、黒田 健太(Kenta Kuroda, b.1995)と共に、4月から9月まで、6か月間のプロジェクト活動を茨木市内で展開します。
HUB-IBARAKIは、毎年選定作家が茨木で発表する作品を起点に、「パブリック」と「アート」の関係の拡張に取り組んできましたが、今年のプロジェクトでは黒田の主たる表現である「ダンス」を介して、茨木の「ストリート」に点在する「表現」に視点を向けていきます。

パブリックとプライベートの接点、「ストリート」を拡張する

本プロジェクトの黒田の作品は、彼の身体表現を介して、茨木市内のストリートで活動している様々な表現に触れていく行為を積み重ねることで成り立ちます。黒田の制作・活動のプロセスから、表現の場としてのストリートの概念を拡張かつ分析していくと同時に、近年はスポーツや教育の分野でも馴染みのあるダンスを取り上げることから、改めてアート(芸術)とカルチャー(文化)の境界や接点についても思考を巡らせる機会になればと思います。さらに、コロナ禍における他者とのコミュニケーションのあり方についても、身体を起点に深めていく黒田の手法から発想の転換を促し、新たな可能性を見出していきます。黒田と共に展開する今年のプロジェクト活動を通じて、茨木のまちに多様な視点がさらに育まれていく半年間になれば幸いです。

アート、すなわち芸術は、美術館や劇場といった専用の施設や空間に行かないと楽しめないというものではありません。これまでHUB-IBARAKIは、まちなかでも芸術を楽しめる環境と機会を創出することから始め、さらにこの数年は芸術による活動やそのプロセスが、社会に対して何らかの役割を担いうることの提示に取り組んできました。そして今年は、広く芸術的なものごとに触れられる環境を、私たちはすでに日常の中に有していることが一人一人に丁寧に伝わるプロジェクトになるように努めます。私たち茨木の「ストリート」にも、芸術は身近にかつ豊かに存在しているはずです。

HUB-IBARAKI ART PROJECT
チーフディレクター 山中 俊広

☆「ストリート」の定義
本プロジェクトでは、公道としての歩道とそれに隣接した空間、公園や広場など、多くの人々に一定の条件でアクセス可能である開かれた場とします。その際に所有者の使用許可が無くても、社会通念上のモラルを順守することで使用が許容される場も含みます。

選定作家

黒田 健太 [KURODA Kenta]

1995年愛媛県生まれ。陸上競技、ボクシングと並行して、松山市のdance studio MOGAにてダンスを続ける。
京都造形芸術大学入学後に多彩な作家と交流し、舞台・映画・現代美術分野の作品制作に携わる。「Hyper performance group MuDA」にて、瀬戸内国際芸術祭をはじめとする公演へ参加する。黒田が演出を担うプロジェクト「感覚絶叫計画」にて《Reboot a stain》(2016年)、《垂るる空》(2017年)をそれぞれ発表する。2018年のアメリカ・ニューヨークへの留学を経て、現在は「HIxTO」と協働した作品制作・発表を、また「現代表現活動グルーヴ」にて檜皮一彦と共に作品制作やワークショップを行う。


はじめまして。私は京都を拠点にダンス分野で活動しています。自身のダンサーとしての活動と並行して、ストリートで出会った初対面の人と時空間を共にする「セッション」を実践しています。それは「日常の時間の流れからはみ出て道に立ち尽くすこと」でもあり、そんな宙吊りになったささやかな領域に興味を持ち作品制作を行っています。

黒田 健太

開催プログラム・プロジェクト実施計画

※ 新型コロナウイルス感染症の動向により、開催日時・内容が変更になる場合があります。最新情報は公式サイト・SNSをご確認ください。
※ 期間中、新たなプログラムを追加する予定にしています。詳細は随時公式サイト・SNSでお知らせします。
※ 事前予約制のプログラムの参加申込方法は、後日公式サイト・SNSでお知らせします。

メインプログラム

黒田 健太 作品《今、ここで、立ち尽くすために》制作・発表

広い意味で「表現」と言われるものや行為は、イベントとしての明確な作りのもの以外にも、茨木のまちなかの至るところに存在し、プロ・アマを問わず様々な「表現」が日々繰り広げられています。本プロジェクトの中心となる黒田の作品は、茨木市内のストリートやパブリックな空間で「表現」をしている人たちを彼独自の方法でリサーチし、出会いとコミュニケーションの積み重ねによって作られていくものです。

期間中不定期に実施する市内リサーチを中心とした作品制作活動を経て、ひとつの上演作品を本プロジェクトの最終日に茨木市福祉文化会館(オークシアター)で発表することで、黒田の作品は完結します。また、現地活動およびそのレポート公開などのプロジェクト活動から展開・派生した、新たなプログラムが加わることも想定しています。


僕らの日常生活がある道にはあらゆるものがはみ出しています。公的なものや私的なもの、仕事や遊び、匿名の他者やあなた。
はみ出ているものたちの振る舞いがなだらかにダンスを始めたとき、それらを区別していた境界がなくなっていきます。境界を失ったあらゆるものたちの視線がきらきらと乱反射し、ゆらめくものが僕にとってストリートと感じるものです。

これから半年間のプロジェクトでは、茨木市のストリートで出会った人と時空間を共にする”セッション”を実践し、ストリートの臨界点に立ち尽くすことから始めます。
ストリートという環境、眼差し/眼差されるものたちの関係性は渦を巻き、お互いの存在を瞬間瞬間に翻します。そのような領域の中で、僕はみなさんと過ごすことでささやかな実感を持ち、その経験が何なのかを考えるために今回のプロジェクトを行いたいと思います。

― 願わくばその道の先に知らないあなたと再び出会えることを。

黒田 健太

○ リサーチプロセス

日時|4月~7月(予定)に茨木市内各所で不定期に実施
内容|市内全域のリサーチ、屋外でのパフォーマンスセッション、ワークショップ

○ 舞台作品上演+クロージングトーク

日時|9月26日(日)13時~、16時~ 2回公演
会場|茨木市福祉文化会館[オークシアター]5階 文化ホール
参加無料・事前予約制

関連プログラム

※ 新型コロナウイルス感染症の動向により、開催日時・内容が変更になる場合があります。最新情報は公式サイト・SNSをご確認ください。
※ 事前予約制のプログラムの参加申込方法は、後日公式サイト・SNSでお知らせします。

バトンタッチトーク 永井寿郎×黒田健太

日時|6月20日(日)
ゲスト|永井寿郎(写真家、HIAP2020選定作家)

緊急事態宣言再延長に伴う大阪府からの要請に基づき、無観客で実施することとなりました。
 当日のトークの様子は、収録した映像を後日YouTubeにて公開します。


HUB-IBARAKI恒例のオープニング企画として、前回の選定作家の永井寿郎氏をお招きし、今回の選定作家の黒田との対談をおこないます。併せて、今年のプロジェクト概要の説明もおこないます。

茨木芸術座談会 2021

日時|7月31日(土)15時45分~18時
会場|茨木市男女共生センターローズWAM 4階セミナー室
参加無料・事前予約制
参加申込先|Googleフォーム https://forms.gle/vUnNXf2ArvxNaVpB9(申込受付は前日まで。定員になり次第締め切ります。)

参加者同士がグループディスカッション形式で様々な対話をする、HUB-IBARAKI恒例のプログラムです。茨木市のこと、HUB-IBARAKIのこと、広く芸術・文化のことなど、多様な価値観や考え方を共有する機会とします。市内市外、関連活動従事の有無に関わらず、関心のある方はどなたでもご参加いただけます。

作家選考について

公募期間|2021年1月12日(火)~3月5日(金)
審査会|2021年3月15日(月)

公募内容につきましてはこちらをご覧ください。 https://hub-ibaraki-art.com/opencall/2021/

【作家公募 審査員】
木村 光佑(版画・彫刻家、京都工芸繊維大学名誉教授・元学長、茨木美術協会会長)
雨森 信(Breaker Projectディレクター、大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員)
平田 剛志(美術批評)
はが みちこ(アートメディエーター)
山中 俊広(HUB-IBARAKI ART PROJECTチーフディレクター、インディペンデント・キュレーター)

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審査会 経過と講評

今回の作家公募には、全国から26名の応募が集まりました。昨年度は8名、一昨年度は12名の過去の応募者数の比較だけでも倍以上の応募があり、公募期間中にオンラインでの説明会を4回実施したことに加え、3度の一般公募を経てHUB-IBARAKIの認知が徐々に広がっていることを実感できました。また応募者の傾向として、昨年からのコロナ禍により、各地で多くの発表機会が失われてきたこともあり、応募者には例年以上に国内外のアートプロジェクト、アーティスト・イン・レジデンスに参加実績のある作家が目立ちました。

審査会は、3月15日(月)の午後に茨木市役所で実施し、5名の審査員で進行しました。まず、一次審査として、5つの審査基準を一定レベルで満たしている応募者を各審査員の任意の人数でリストアップし、2名以上の推挙があった8名の応募者を二次審査に進めることとしました。
二次審査では、8名の応募者の作品・活動プランについて、それぞれ評価する点と懸念する点を審査員全員で議論をおこないました。議論の中で、一次審査で審査員の過半数となる3名以上の推挙があった6名の応募者に絞り、各審査員がその中から2名に票を投じることとし、過半数の票を得た2名の応募者で最終審査をおこなうこととしました。

更なる議論の結果、ダンスアーティストの黒田健太さんを満場一致で今年の選定作家に決定しました。黒田さんの提案には、夜間およびストリートにいる茨木の人々の生態をリサーチするという視点、プロアマ問わずストリートで活動をしている人たちを巻き込んでいくことにより、これまでのHUB-IBARAKIで出会うことの少なかった範囲の市民との交流が生まれる可能性を有していることを、高く評価しました。
また、パフォーマンス系かつ20代の作家を選ぶことがHUB-IBARAKIとして初めてという点においても、毎年新たなチャレンジに取り組むプロジェクトの志向にも合致していました。

総評として、活動を通じて「パブリック」という概念をどのように解釈できるかということが、本プロジェクトにおいて最も重要な論点となる中、今回の公募では「パブリック」の捉え方が多様に提示されて、審査員一同にとっても学びが多い機会になりました。
とりわけ二次審査で多く時間を割いた議論が、「メタ・パブリック」的視点のプランをどう判断するかということでした。人や作品が実在する現実の場・空間を超えたところに「パブリック」を設定したプランが複数あり、それらは作家・作品と市民が関係を持つ間に仮想の「システム」を置くという作りで共通していました。丁寧な論理と考察で作られたプランではありましたが、茨木でそれを実践する必要性があるのか(どの地域・社会環境でも実現可能である)という点、このシステムでの交流によって得られる効果や結論の想定が不足していたこと、作品としてのシステムに市民が利用される構図に陥る恐れがあるのではなどの見解が、複数の審査員から提示されたことにより、結果として選外となりました。

前世紀に定着した「パブリックアート」ではなく、いまに即した「パブリック」の概念を再考し、拡張していくための「アート」を実践することをHUB-IBARAKIのスタンスとして謳い3年目の一般公募となりましたが、まだ過半数の応募者が従来の概念のままで留まっている一方で、私たちの意向を理解した提案を出してくださる方は、例年よりも多くありました。
また、作品・活動プランが堅実なものに留まっていた傾向も目立ちました。計画として明確で整っているものの、審査会からの提案を付加する余地が少ないものや、運営側を戸惑わせるほどの挑戦的なプランが少なかったのは、コロナ禍の不安定な社会状況が影響していたのかもしれません。

今年は黒田さんとの協働を進めながら、現場でさらに「パブリック」の考察を深め、茨木ならではのアートと社会を結び付ける視点と共に、アートプロジェクトとして新たな提案・提示ができるように取り組んでまいります。

HUB-IBARAKI ART PROJECT
チーフディレクター 山中 俊広

ABOUT

HUB-IBARAKI ART PROJECT

「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は、「継続的なアート事業によるまちづくり」を目的に、大阪府茨木市で実施するアートプロジェクトです。茨木市に暮らす人々が、アート作品・作家との交流を通して、アートの本質的な魅力である「表現の豊かさ/美しさ」「探求心」に触れて、その体験をそれぞれの日常の中へ還元していくことのできるアートプロジェクトを目指します。