2021 Project

2021 HUB-IBARAKI ART PROJECT

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HUB-IBARAKI ART PROJECT 2021 開催概要

プロジェクト実施
開催期間

2021年4月~9月(6か月間)

作家

黒田 健太(ダンサー、1995年愛媛生まれ)

テーマ(仮)

茨木のまちとアートの新たな関係を取り結ぶ パブリックを拡張するアートプロジェクト

プロジェクト内容

茨木市内全域を対象としたリサーチ、作品発表、トーク、市民交流の取り組みなど複数のプログラムを実施予定

チーフディレクター

山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)

ディレクター

山本 正大(少年企画)

事務局

茨木市文化振興課

主催

茨木市、アートを活用したまちづくり推進事業『HUB-IBARAKI ART』実行委員会

選定作家

黒田 健太 [KURODA Kenta]

1995年愛媛県生まれ。陸上競技、ボクシングと並行して、松山市のdance studio MOGAにてダンスを続ける。
京都造形芸術大学入学後に多彩な作家と交流し、舞台・映画・現代美術分野の作品制作に携わる。「Hyper performance group MuDA」にて、瀬戸内国際芸術祭をはじめとする公演へ参加する。黒田が演出を担うプロジェクト「感覚絶叫計画」にて《Reboot a stain》(2016年)、《垂るる空》(2017年)をそれぞれ発表する。2018年のアメリカ・ニューヨークへの留学を経て、現在は「HIxTO」と協働した作品制作・発表を、また「現代表現活動グルーヴ」にて檜皮一彦と共に作品制作やワークショップを行う。


はじめまして。私は京都を拠点にダンス分野で活動しています。自身のダンサーとしての活動と並行して、ストリートで出会った初対面の人と時空間を共にする「セッション」を実践しています。それは「日常の時間の流れからはみ出て道に立ち尽くすこと」でもあり、そんな宙吊りになったささやかな領域に興味を持ち作品制作を行っています。

黒田 健太

《水面を覗く子供たち》(ポルトガル・ラゴス、2018年)
児玉北斗《PURE CORE》THEATRE E9 KYOTO(京都、2020年)[写真:金サジ]
《Reboot a stain》京都造形芸術大学(2016年)
現代表現活動グルーヴ《世界の中心でIを叫んだケモノ》3331 Arts Chiyoda(東京、2020年)

開催プログラム・プロジェクト実施計画

4月下旬に公開を予定しています

作家選考について

公募期間|2021年1月12日(火)~3月5日(金)
審査会|2021年3月15日(月)

【作家公募 審査員】
木村 光佑(版画・彫刻家、京都工芸繊維大学名誉教授・元学長、茨木美術協会会長)
雨森 信(Breaker Projectディレクター、大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員)
平田 剛志(美術批評)
はが みちこ(アートメディエーター)
山中 俊広(HUB-IBARAKI ART PROJECTチーフディレクター、インディペンデント・キュレーター)

作家公募の詳細は、こちらをご覧ください。

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審査会 経過と講評

今回の作家公募には、全国から26名の応募が集まりました。昨年度は8名、一昨年度は12名の過去の応募者数の比較だけでも倍以上の応募があり、公募期間中にオンラインでの説明会を4回実施したことに加え、3度の一般公募を経てHUB-IBARAKIの認知が徐々に広がっていることを実感できました。また応募者の傾向として、昨年からのコロナ禍により、各地で多くの発表機会が失われてきたこともあり、応募者には例年以上に国内外のアートプロジェクト、アーティスト・イン・レジデンスに参加実績のある作家が目立ちました。

審査会は、3月15日(月)の午後に茨木市役所で実施し、5名の審査員で進行しました。まず、一次審査として、5つの審査基準を一定レベルで満たしている応募者を各審査員の任意の人数でリストアップし、2名以上の推挙があった8名の応募者を二次審査に進めることとしました。
二次審査では、8名の応募者の作品・活動プランについて、それぞれ評価する点と懸念する点を審査員全員で議論をおこないました。議論の中で、一次審査で審査員の過半数となる3名以上の推挙があった6名の応募者に絞り、各審査員がその中から2名に票を投じることとし、過半数の票を得た2名の応募者で最終審査をおこなうこととしました。

更なる議論の結果、ダンスアーティストの黒田健太さんを満場一致で今年の選定作家に決定しました。黒田さんの提案には、夜間およびストリートにいる茨木の人々の生態をリサーチするという視点、プロアマ問わずストリートで活動をしている人たちを巻き込んでいくことにより、これまでのHUB-IBARAKIで出会うことの少なかった範囲の市民との交流が生まれる可能性を有していることを、高く評価しました。
また、パフォーマンス系かつ20代の作家を選ぶことがHUB-IBARAKIとして初めてという点においても、毎年新たなチャレンジに取り組むプロジェクトの志向にも合致していました。

総評として、活動を通じて「パブリック」という概念をどのように解釈できるかということが、本プロジェクトにおいて最も重要な論点となる中、今回の公募では「パブリック」の捉え方が多様に提示されて、審査員一同にとっても学びが多い機会になりました。
とりわけ二次審査で多く時間を割いた議論が、「メタ・パブリック」的視点のプランをどう判断するかということでした。人や作品が実在する現実の場・空間を超えたところに「パブリック」を設定したプランが複数あり、それらは作家・作品と市民が関係を持つ間に仮想の「システム」を置くという作りで共通していました。丁寧な論理と考察で作られたプランではありましたが、茨木でそれを実践する必要性があるのか(どの地域・社会環境でも実現可能である)という点、このシステムでの交流によって得られる効果や結論の想定が不足していたこと、作品としてのシステムに市民が利用される構図に陥る恐れがあるのではなどの見解が、複数の審査員から提示されたことにより、結果として選外となりました。

前世紀に定着した「パブリックアート」ではなく、いまに即した「パブリック」の概念を再考し、拡張していくための「アート」を実践することをHUB-IBARAKIのスタンスとして謳い3年目の一般公募となりましたが、まだ過半数の応募者が従来の概念のままで留まっている一方で、私たちの意向を理解した提案を出してくださる方は、例年よりも多くありました。
また、作品・活動プランが堅実なものに留まっていた傾向も目立ちました。計画として明確で整っているものの、審査会からの提案を付加する余地が少ないものや、運営側を戸惑わせるほどの挑戦的なプランが少なかったのは、コロナ禍の不安定な社会状況が影響していたのかもしれません。

今年は黒田さんとの協働を進めながら、現場でさらに「パブリック」の考察を深め、茨木ならではのアートと社会を結び付ける視点と共に、アートプロジェクトとして新たな提案・提示ができるように取り組んでまいります。

HUB-IBARAKI ART PROJECT
チーフディレクター 山中 俊広

ABOUT

HUB-IBARAKI ART PROJECT

「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は、「継続的なアート事業によるまちづくり」を目的に、大阪府茨木市で実施するアートプロジェクトです。茨木市に暮らす人々が、アート作品・作家との交流を通して、アートの本質的な魅力である「表現の豊かさ/美しさ」「探求心」に触れて、その体験をそれぞれの日常の中へ還元していくことのできるアートプロジェクトを目指します。